「わたしの作陶のたのしみ」2016.04

出展情報

2016年4月に多摩市立関戸公民館ギャラリーでおこなわれた「逸陶会 陶芸作品展示会2016」内で展示した「わたしの作陶のたのしみ ~日々の作陶でかんじるたのしみ~」を再編集しました。


1.機能をもつ陶器をつくるたのしみ

1.機能をもつ陶器をつくるたのしみ

土と水をこねて形をつくり熱を加えると、日々の生活で使える陶器になる… さらに自分の目指すところに迫っていく… これがもっともシンプルな作陶のたのしみです。
わたしが目指しているのは、「道具(機能)と作品(佇まいの美しさ)」を伴う「子供の頃からずっと使ってきたように生活に馴染み、ときには初めて会ったような表情を見せる」雰囲気のある器です。

2.手遊びのたのしみ

「こんなのおもしろいかも!?」とおもいつきで作り始め、アイデアをダイレクトに形にすることがあります。おもいつきの粘土遊びなので失敗も少なくないですが、そこから新たな発想がうまれたり、新しいやり方・工夫を見つけたりと、とても得るものが多いです。

3.「うつし」のたのしみ

わたしの考える「うつし」とは、オリジナルを再現したり贋作をつくることではなく、作者の意図や背景に思いを馳せ、今、わたしが作るならどう作るかを体現することです。
出来たものを見ながらその「うつし」がどうだったか? を考えると更にオリジナルへの理解が深まる気がします。
まだまだ未熟な試みですが…

4.意図と偶然のたのしみ

陶器の出来上がりには幾つもの要素が影響しています。土、釉薬、熱、道具、身体、天候…それらを意図的にコントロールすることで狙い通りの陶器を作ろうとしますが、偶然の介入で要素が変化して、思ってもない出来あがりになることも少なくありません。
しかし、コントロールされたもの、偶然にできたもの、どちらにも魅力が備わるのが面白いところです。
より自分の意図を反映した陶器を作ろうと釉薬や土をブレンドして実験していますが、そこにも当初想定していたものを凌ぐ偶然の良さが現れることがあり、今度はその再現に実験を費やすことも多々あります。

5.陶器がもつ魅力

陶器は水分、温度、細かいキズなどで変化していきます。つかうにしたがって色みが変化していき、貫入(釉薬の細かいヒビ)があれば色が差し、全体的に渋み・深みが増していきます。
これを汚れとして廃棄しせず、「器のあじ」「器が育った」としておおらかに受け容れ、愛でる文化が日本にはあり、陶器にはこのおおらかな心を人に宿す「寛容の美」(造語)があるように思います。

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